【タイトル】

未来にむかって~(副校長から)9月号

【本文】

 今回のテーマは,「歩く能力!」です。先週の8月号で,「走ることは本能!」について触れましたが,今号では,「危険予測能力」と「危険回避能力」について述べます。  学校では,廊下を走らせないために,様々な工夫をしてきました。「注意喚起の看板を立てる」「障害物を置く」「角にカーブミラーを設置する」といった方法は,こどもの慣れとともに効果がなくなります。先生の「走らない」という否定形よりも「歩く」という言い方の方が効果的だとも言われています。また,生活指導的なアプローチとして,こどもに走ってはいけない理由を考えさせることもあります。こどもの「なぜ走ってはいけないのか。」に対して,先生の「危ないから。」という答えでは,不十分です。先生は,「なぜ危ないのか。」と問い返し,教室から出てきた人と衝突する,転ぶと大怪我をする,止まれずに何かと衝突するなど,こどもに危険な場面を具体的に想像させることが必要です。これが,こどもの「危険予測能力」の醸成に繋がります。こどもの交通事故の原因のトップである「飛び出し」も車が来るかもしれないということを予測できなかったり,考える前に体が動いてしまったりという「危険予測能力」と「危険回避能力」の欠如によります。その意味でも,小さな事故であっても「その原因は何か。」「どうすれば怪我をしなかったのか。」「どのように行動すればよかったのか。」といったことをこどもに考えさせるケーススタディが必要となります。これをしないと同じことを繰り返します。痛みを学びにしなければ,ダブルで損をしてしまいます。  本能を越えるのは,理性・知性です。学校で学ぶ意味は,本能を抑える理性や知性を身に付けるために,その技術・方略を教えることにあります。この時期,ぜひ,ご家庭でも「ちょっとした時間」を見付けて,お子さんとたくさん話をしていただけたらと思います。                               副校長  齋藤 克人


【添付ファイル】

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