【タイトル】

未来にむかって~(副校長から)7月号

【本文】

 今回のテーマは,「天球」です。梅雨時と重なる七夕の時期は,星空が見られることが少なく,月遅れの七夕の頃の方が「夏の大三角形」が観やすくなります。こと座のベガ(織姫),わし座のアルタイル(彦星),はくちょう座のデネブは,3つともα星(その星座で最も明るい星)のため,星座の形よりも三角形の方が目立ちます。天の川の中では,「はくちょう座」が翼を広げ,その天の川をはさんで,「わし座」と「こと座」が位置しています。  ベガとアルタイルの距離は,約15光年(光の速さで15年)です。太陽と地球の距離は,0.00001581光年(同,8分19秒)なので,2つの星はものすごく離れていることが分かります。また,地球とベガまでの距離は,26光年,地球とアルタイルまでは約17光年で,地球・ベガ・アルタイルで巨大な三角形を構成することができます。小学生には難しいのですが,視点を地球の外に向けると,この位置関係が分かります。地球からそれぞれの恒星までの距離は,すべて異なります。しかし,あまりに遠すぎて夜空の星までの距離を感じることができず,人間の目には平面的にしか見えません。古代の人々は,地球を取り巻く仮想の球体の上に恒星や惑星が張り付いていると考えていました。現代でも,この天球の考え方が受け継がれています。同様に,コペルニクス以前の天動説の方が人間にはイメージが得やすいため,地球の自転による太陽の見かけの動きを,太陽は東から昇り,西に沈むと理解しています。  天体の動きのように,時間・空間のスケールが大きいときには,自分視点で考えたり,ある情報を無視して考えたりした方が分かりやすい場合もあります。特に,小学生の発達段階では,地球の外に視点を移動させることは難しく,天球や天動説で説明した方が理解しやすくなります。しかし,時間・空間概念ができたところで,修正を加えないとミスコンセプション(誤概念,誤解,思い違い)をもったままの大人になってしまいます。実際には,この修正が行われていないことが理科教育の課題です。  最後になりますが,7月21日(金)から,お子さんが楽しみにしている長い夏休みが始まります。保護者の皆様はお忙しいことと存じますが,この夏休みの期間に機会があれば,夜空を見上げ,お子さんと「天球」の話をしていただけたら,幸いです。皆様,よい七夕・よい夏休みをお過ごしください。                                   副校長  齋藤 克人


【添付ファイル】

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