【タイトル】
未来にむかって~(副校長から)9月号【本文】
今回のテーマは,「聞くこと」です。「聞くこと」「読むこと」「見ること」は,情報入力の方法です。中でも「聞くこと」は,学校では,多くの割合を占めます。特に,学習は先生の話を聞く,友達の話を聞くことが中心になり,話の聞かせ方=学習への取り組み姿勢であり,話の聞き方=理解度となります。しっかり話を聞くことが学習の基本であり,すべてはここからスタートします。 20年ほど前,コミュニケーション能力の低下が問題となりました。その根本原因は,コミュニケーション能力=伝えること,話すことだとする出発点の誤りでした。自分の言いたいことを発表することに主眼がおかれ,言いっぱなしのこどもを増やすことになりました。また,話形の指導といった話し方のスキルばかりに目が向き,話す中身・内容がおろそかになっていました。 「コミュニケーション」とは,「人間が互いに意思・感情・思考を伝達し合うこと(大辞林)」であり,「相互性」がポイントとなります。言葉によるコミュニケーションで言えば,「話すこと」「聞くこと」がセットになっていなければなりません。だれかが話をし,他はそれを聞く。そして,そのことについて話すといったキャッチボールがあって,初めてコミュニケーションが成立します。「話すこと」だけの指導では,コミュニケーション能力の育成にはつながりませんでした。 人が話をしているときに話をしないルールは,学校だけでなく人としての常識です。人と関わりながら生活していく上でのルールです。話を理解しているか否かではなく,少なくとも他に聞いている人の邪魔をするようなことがあってはなりません。学校では,学校における学習ルール,学習スキルとして,話を聞かなければならないということを徹底していかなければいけないと考えます。ここで大切なことは,「良い聞き手の育成は,より良い話し手の育成につながる」ということです。しっかり聞いてくれているという実感によって、話し手は話しやすくなり,自分もしっかり聞こうという意欲が生まれます。また,先生の話,友達の話だけでなく,話し手がだれであっても「まず聞く」という習慣形成が必要です。 ご家庭でも,夕食時に「学校における学習ルール,学習スキルとして,話を聞く」ことについて,お子さんとお話していただけたら,嬉しく思います。 副校長 齋藤 克人【添付ファイル】
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