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未来にむかって~(副校長から)4月号

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 令和6年度がスタートしました。今年は,開校10年目の年となります。江東区では,周年行事を11年目としていますので,令和7年度を予定していますが,大きな節目となる今年1年はいろいろな意味で学校としての総まとめ,区切りの1年となっていきます。そして,さらによい学校にしていきたいと考えます。
 さて,今回のテーマは,「おかげさま」です。「おかげ様」は,「かげ(蔭)」に「お」「様」を付けて最上級の丁寧語にしています。他には,「お疲れ様」「お世話様」「お邪魔様」など,相手への気持ちを謙虚に表す言葉があります。「蔭」のそもそもの意味は,神仏の助け=「加護」ですが,一般化して「他から受けた力添え」「恩恵」へと拡大しています。根拠のない自信,身勝手な自己有能感をもったこどもは,すべて自分の力で上手くいっていると思っています。人が生きていく上でだれかの世話にならないということはありません。「他から受けた力添え」に気付くことが大人になっていくことです。対価を支払えば,感謝する必要がないとする考え方も,大人としてあまりに未熟と考えます。
 さて,話は変わりますが,「人は見た目で判断してはいけない。」と言います。このことは,逆に,人は,見た目で判断されるということを表しています。その人との関わり,つまり,その人と話をしたり,いろいろな面を見たりすることで,その人のことが少しずつ分かってきますが,それは,第一印象とのギャップを埋める作業だと考えます。それだけ,人は,第一印象に引きずられます。こどもも同じです。今年度も,始業式後に校庭で学級指導を行いました。短時間の出会いでしたが,こどもたちによい印象をもたせ,翌日からの学校生活に期待感を抱かせることが大切でした。先生方は,「担任の先生,何か楽しそう。」「楽しい学級になるかもしれない。」という思いをもたせるような出会いを演出していました。「今度の先生,面白そう!」とご家庭でも,そんな話をしていただけると,お子さんも安心し,よい印象をもつことができるかと思います。
 最後になりましたが,この10日間,こどもたちは,新しい環境の中で一所懸命に力を発揮していました。令和7年3月までの1年間,第一印象を大切にしつつ,周りの人への「おかげさま」の気持ちを忘れずに,随所で活躍して欲しいと願っています。保護者の皆様におかれましても,本校の教育活動にご理解・ご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。            副校長  齋藤 克人

公開日:2024年04月17日 13:00:00
更新日:2024年04月19日 15:14:34

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未来にむかって~(副校長から)3月号

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 今回のテーマは,「あなたが いたから」です。4月の学級開きから1年,学級を閉じる時期となりました。お子さん一人一人が「この学級で良かった。」という気持ちを残して,学級を閉じられるといいなと考えています。そのためにも,担任の先生が「いい学級だった。」「先生も楽しかった。」と言えることが大切です。お子さんの中には,進級・進学への不安を感じている子もいることと思います。その不安を払拭するためにも,1年生から5年生は,進級への期待を膨らませ,希望をもたせて,発展的に学級を閉じていくことが大切です。6年生は,小学校の締め括りであり,大きな節目を迎えます。中学校生活への期待よりも不安が大きいかもしれませんが,中学校生活での楽しそうなことを想像させ,いい気持ちで卒業して欲しいと願っています。
 さて,こどもたちは,自分一人で大きくなったと考えがちです。確かに,時間とともに心も体も成長していきます。こども自身の成長する力,よりよくなりたいと思う気持ちが成長の原動力であることは,確かです。でも,「人は人によって人になる」という言葉のとおり,人との関わりによって成長していきます。こどもたち相互,こどもと担任との関わりがあるからこそ,その中で成長していきます。他者との関係による成長には,以下の3つの側面があります。
(1)他者が鏡になる → 他者を通して,自分を見つめることができます。他者を鏡にすることで,自分の姿が明らかになり,成長のきっかけになります。
(2)他者に教えてもらう → こどもたちは,自分の力で,できる部分と誰かの助けにより理解し,できるようになる部分があります。学びには,他者が必要です。
(3)他者に励まされる → 一人ではできないことも,一緒に取り組む仲間がいたり,応援されたりすると力が出ます。互いに励まし合うことは,勇気を与えます。
 「他者」は,「あなたたち」と考えてしまいますが,「あなた」のように特定の誰かを意識することが大切だと考えます。英語では,「あなた」も「あなたたち」も「You」ですが,日本語は,明確に区別します。学校では,キャリア教育の一環として,学級を閉じるにあたり,自分の成長を手助けしてくれた特定の「あなた」について,考えさせる学習を設定します。ご家庭でも,ぜひ,「あなた」について,話題にしていただき,お子さんが「あなたが いたから」というお話をしてくれたら,大変嬉しく思います。
 最後になりましたが,この1年間も,本校の教育活動にご理解,ご協力をいただき,本当にありがとうございました。                            副校長  齋藤 克人

公開日:2024年03月01日 12:00:00
更新日:2024年03月05日 13:06:47

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未来にむかって~(副校長から)2月号

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 今回のテーマは,「基準」です。今年は,4年に一度の「閏年」,オリンピックイヤーでもあります。閏年は,明治時代の法津に規定され,現在でも適用されています。ここでは,武天皇即位紀元年数(=「皇紀」,西暦に660を加えた数)が4で割れる年を閏年とするとともに,紀元年数から660を引いた数(西暦)が100で割れる年を平年(閏年でない年),400で割れる年を閏年としており,閏年は400年に97回やってくることになります。(簡単に言えば,(1)西暦年号が4で割れる年を閏年とする。(2)(1)を例外として西暦年号が100で割り切れて400で割り切れない年は平年とする。ということで,2000年は,閏年ではありませんでした。)
 地球が太陽の周りを1周する時間を一年としていますが,実際に地球が太陽の周りを回るには,365.2425日(約365と6時間)かかっており,4年に一度,1日加えることで修正しています。これが閏年であり,古来より経験的に行ってきた人間の知恵です。
 また,「一日」や「一秒」の長さの決め方について,かつては,地球の自転を基準にして「一日」という長さが決められ,その24分の1を1時間,さらにその60分の1を1分,その60分の1を1秒としていました。今では,セシウム原子周波数標準による1秒の積み重ねで世界標準時が決められています。しかし,地球の自転速度にムラにより世界標準時との差が生じるようになりました。そこで,数年に一度「うるう秒」を加え,調整を図っています。「長さ」も,かつては,子午線の1000万分の1を1メートルとしていましたが,今では,真空中で光が1/299792458秒に進む距離と定義されました。また,重さについても, アボガドロ定数による定義が検討されており,メートル原器やキログラム原器などの人工物による基準は,消えていくことになります。科学の発展とともに,度量の根本となる基準が変わっていきます。                           副校長  齋藤 克人

公開日:2024年02月01日 22:00:00
更新日:2024年02月05日 17:31:09

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未来にむかって~(副校長から)1月号

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 先日20日(土)に学校公開を実施いたしました。保護者・地域の皆様には,1日という限られた時間の中,またご多用の中,ご来校いただき,本当にありがとうございました。
 さて,今回のテーマは,「まず,聞く」です。日本人は,コミュニケーション能力に課題があると言われ,学校教育,特に国語教育の中で「伝える」ことに重点がおかれてきました。しかし,伝えるための技法を教えることに終始し,内容の精選や相手意識は,重要視されませんでした。これは,「コミュニケーション」のもう一つの意味である「共有」が忘れ去られてしまったからと考えます。
 分かり合うためには,伝えることが必要です。分かってもらおうとするために,一所懸命に話そうとします。しかし,話せば話すほど伝わらないということが起こります。これは,人は話を聞くよりも,自分の話を聞いて欲しいという思いが強いからです。話を聞いている場面で聴き手は,頭半分で聞きながら,残りの半分では次に何を話すのかを考えたり,口を挟むタイミングを計ったりしています。互いに,このような状況だと,結局,何も伝わらないことになってしまいます。どちらかが聞き手に徹し,「まず,聞く」ことが大切です。学習の場面では,話すことに重点がおかれますが,聞くことこそ,大切なコミュニケーション能力です。聞き手は,何を伝えようとしているのか,共感すること,共有すべきものは何かを考えながら聞くと伝わってきます。「話し方」以上に「聞き方」の学習に重点をおくべきです。
 分かり合うことは難しいことですが,だからといって,諦めるのではなく,分かろうと努力をし続けることが大切です。その背景には,人を大事に思う気持ち,人と関わりたいと思う気持ちが大切です。ここから,育てていかなくてはならないような気がしています。ぜひ,ご家庭でも,「まず,聞く」について,人を大事に思う気持ちや人と関わりたいと思う気持ちを話し合っていただけたらと思います。
                                  副校長  齋藤 克人

公開日:2024年01月29日 05:00:00

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未来にむかって~(副校長から)12月号

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 今回のテーマは,「褒める」です。学校では,本日14日から展覧会が始まりました。こどもたちの作品を観ていると,工夫したところが必ず見付かります。平面作品では,苦労したり,こだわったりした様子が見えてきます。そんな平面作品,特に「絵」には,完成を自分で決めなければならない難しさがあると,考えます。小学校の頃,自分なりにいいかなと思っても,つい描き加えたり,いじったりして取り返しのつかないことになって後悔することがありました。
 私が小学校4年生の時に,図画工作は,専科の先生になりました。その先生がお話を読んでくれ,その情景を絵にするという学習がありました。一人ひとりが下絵を描き,さらに描いた場面ごとにグループになり,そのグループで共同して大きな絵に仕上げ,超大型の絵本にしていきました。私は,主人公を描いていましたがネズミが,その先生が自分のグループに来て,「あなたの描いた主人公を大きく描いた方がいいよ!」と言ってくれました。「上手!」と直接褒められた訳ではありませんが,認められたことが嬉しかったことを今でも覚えています。
 褒められると嬉しくなるのは,ちゃんと見ていてくれていると実感できるからです。承認欲求の強さは,自信の無さの裏返しです。また,自信の無さを隠すために相手を低く見たり,先制攻撃をしたりと言った行動をとるようになります。今のこどもたちは,実は自信がなく,認められたくてしょうがない子が多いように感じます。小さなことでも具体的に褒めて,認められていることを実感させ,自信を付けさせていきたいものです。
 そこで,上手な褒め方についてですが,後ではなく,(1)その場で褒めること。美辞麗句を並べるのではなく,(2)自分の感動で褒めること。さらに,(3)結果と過程を結び付けて褒めること。総括的ではなく,(4)具体的に褒めること。第三者が褒めていたという,(5)三角褒めを使うこと。などがポイントだと考えます。
 ぜひ,ご家庭でも,展覧会にご来校いただき,お子さんの作品について,頑張りを認めたり賞賛したりしていただけたらと思います。                     副校長  齋藤 克人

公開日:2023年12月14日 20:00:00
更新日:2023年12月16日 08:41:55

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未来にむかって~(副校長から)11月号

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 今回のテーマは,「レジリエンス」です。後期から5年生の担任をしていますが,先日,TGG(東京グローバルゲートウェイ)や社会科見学に引率した際,持って行ったリュックサックに「折れない心」という缶バッチが付いています。サッカーをしている息子のリュックサックを借りて行ったので,いつの間にかに,息子が付けていた物です。
 担任をしている5年生が2,3才頃のことになりますが,この「折れない心」がスポーツ界から端を発し話題になっていました。フィギュアスケートの浅田真央さんがソチオリンピックのショートプログラムで失敗したものの次のフリーでは自己ベストを更新したり,羽生結弦さんが,試合の直前練習で他選手と衝突で怪我を負いながらも銀メダルを獲得したりといった危機からの復元力の強さです。「レジリエンス」と言われる概念ですが,一発勝負のスポーツではメンタルトレーニングとして学んでいると言います。「レジリエンス」は,「精神的回復力」「抵抗力」「復元力」「耐久力」などと訳される心理学用語で,鋼のような強さではなく,柳のような折れないしなやかさです。
 お子さん達の「レジリエンス」を強化するには,友達との絆を実感させることが一番です。一緒に考えたり,喜んだりする経験が共感性を育み,マイナス要因をプラスに転換する力が付いてきます。そのために,学校では,対話をしながら学習を進めたり,学年や学級で共感体験を積み重ねたりしています。さらに,仲良し班活動などで,年少者などの面倒をみることで自己有用感や自己有能感をもたせていきます。
 ぜひ,ご家庭でも,「レジリエンス」を強化するために,一緒に考えたり,喜んだりする経験を増やして共感性を育んだり,年少者の面倒をみさせることで自己有用感や自己有能感をもたせたりしていただけたらと思います。                            副校長  齋藤 克人

公開日:2023年11月22日 18:00:00
更新日:2023年11月24日 13:04:28

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未来にむかって~(副校長から)10月号

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 今回のテーマは,「リスタート(2)」です。4月号で新年度の「リスタート」について,述べさせていただきましたが,今月は,後期の「リスタート」についてです。
 来週から後期が始まります。3日間のお休みでは,新鮮味がありませんが,新たな気持ちでスタートしたいと思います。新たなスタートの方法には,2つの方法があります。「リセット」と「リスタート」です。「リ」は接頭語で「再び」「やり直す」「逆に」「後ろに」の意味をもたせます。辞書を引いてみると「リ」が接頭語になっている英単語が多いことを再発見します。「再+発見」「再+確認」のように,日本語でも「再」をつけることで派生語を作ることができます。
 リセットは,最初の状態に戻すことであり,コンピュータやゲームはリセットできますが,人生を含めて人間の過去は,リセットできません。一方,リスタートは,思い立ったその時点からやり直すことができます。さらに,リセットは,また同じことを行うイメージですが,リスタートは以前とは違う前向きな改善,仕切り直しといったイメージがあります。
 昨日まではできなかったけれど,そのことに気付いて「今日から頑張ろう」と思うことがリスタートです。リスタートはいつでもできますが,三日坊主になりがちです。三日坊主の原因として,(1)目標が不明確 (2)具体的な行動を想定していない (3)達成状況が分からない (4)実行することのよさを実感できない,等々が挙げられます。来週は,キャリアパスポートで「後期のめあて」「後期に頑張ること」を確認する場があると思います。「○○を頑張る」という曖昧な目標ではなく,「○○を毎日続ける」のような具体的な目標と,そのための「○○をする」といった行動目標に落とし込むことが必要です。さらに,途中で振り返る場を作ることにより,達成状況を確認します。そして,先生や友達,保護者がその頑張りを認めたり賞賛したりすることにより,改善意欲が強化されていきます。
 ぜひ,ご家庭でも,キャリアパスポートについて,めあてや頑張ることを確認し,その頑張りを認めたり賞賛したりしていただけたらと思います。             副校長  齋藤 克人

公開日:2023年10月05日 15:00:00
更新日:2023年10月12日 17:12:31

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未来にむかって~(副校長から)9月号

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 今回のテーマは,「知的好奇心」です。こどもたちにとって分かる学習にするためには,こどもの知的好奇心を刺激する必要があります。こどもは,新しいことを知りたい,学びたいという気持ちをもっています。その気持ちを上手く活かしていけば,こどもが主体性を発揮し,自ら分かる学習を作っていくようになります。しかし,知的好奇心の方向性や中身はこどもによって異なります。それは,生活経験からくる興味・関心の違いです。一方でこどもの「遊び」は,知的好奇心や精神的欲求が原動力となっています。学校では,この「遊び」を上手く取り入れています。
 生活科では,「もっと」という言葉が知的好奇心を刺激します。「もっと大きなシャボン玉を作りたい。」「もっと丈夫なシャボン玉を作りたい。」「もっとたくさん作りたい。」など,こどもたちは,遊びながら「競争」や「偶然」を楽しんでいます。そして,自分の中で「もっと○○」を設定して,創意工夫を楽しんでいきます。「さっきより大きなシャボン玉」「誰よりも丈夫なシャボン玉」を目標として,試行錯誤を繰り返していきます。ここには,その子なりの気付きがあり,思考があります。しかし,その気付きも思考も表出させなければ伝わらず,皆で共有することもできません。さらに,表出することで気付きが思考として整理されていきます。この過程の有無が「遊び」と「学習」の違いです。
 理科では,「もっと明るくするには?」「もっと食塩を溶かすには?」「もっと大きく育てるには?」・・・と,「もっと」を考えさせることで,「条件」を変えることに目を向けていきます。「もっと」は,現状を変えるための言葉です。新しいことを知りたい,学びたいは,「現状を変えて,よくなりたい。」という思いから生まれます。「もっと○○するには?」の○○は,変化を期待する具体的な言葉が入ります。
 ぜひ,ご家庭でも,生活経験からお子さんの知的好奇心を刺激していただけたらと思います。
                                  副校長  齋藤 克人

公開日:2023年09月24日 14:00:00
更新日:2023年09月29日 13:23:34

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未来にむかって~(副校長から)8月号

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 今回のテーマは,「キャッチコピー」です。いよいよ来週24日(木)に1ケ月間の夏休みが終わり,助走期間もなく25日(金)から平常授業が始まります。ある意味すごいことですが,よいスタートになることを願います。さて,最近,こどもたちの夏休みの自由研究は,全員悉皆ではなく,やりたい人が取り組むように変わってきました。毎年,取り組んでいるこどもの作品を観ていると,いろいろ工夫していて,とても面白いです。見せ方や展示の仕方が大事ですが,作品の「キャッチコピー」を考えると,さらに,面白くなると思います。作品の特徴を表す短い言葉を考える作業は,相手を強く意識する言語活動であると考えています。
 「キャッチコピー」は,コマーシャル(CM)に学ぶことができます。コピーライターという職業や広告代理店という業種が生まれ,商品そのものはもちろん,購買につなげるための広告の仕方が収益に直結するようになっています。少し前のCMになりますが,「世界は,誰かの仕事でできている!」というCMのキャッチコピーがありました。CMの中で役者が演じる様々な職業の形は,そのままキャリア教育や職業教育の学習に使えそうです。こどもたちは,自分のやりたい仕事が世界というジグゾーパズルの一つのピースであると考えると,やる気や自信が生まれます。また,このキャッチコピーは,目に入るものは,人が関与しており,それが職業として成立していることを再認識させてくれます。
 キャッチコピーを集めたり,自分たちで作ったりすることで,対象を深く観ることができます。視野を広げ,深く考えるネタは,社会の中にあります。本来,学習内容自体が生活と密着しているものです。キャッチコピーの素材そのものを扱うことで言語活動の学びが深まっていきます。ぜひ,この機会に,ご家庭でも,生活の中からネタを探し,キャッチコピーを考えていただけたら,嬉しく思います。
                                   副校長  齋藤 克人

公開日:2023年08月16日 15:00:00
更新日:2023年09月28日 14:30:04

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未来にむかって~(副校長から)7月号

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 今回のテーマは,「天球」です。梅雨時と重なる七夕の時期は,星空が見られることが少なく,月遅れの七夕の頃の方が「夏の大三角形」が観やすくなります。こと座のベガ(織姫),わし座のアルタイル(彦星),はくちょう座のデネブは,3つともα星(その星座で最も明るい星)のため,星座の形よりも三角形の方が目立ちます。天の川の中では,「はくちょう座」が翼を広げ,その天の川をはさんで,「わし座」と「こと座」が位置しています。
 ベガとアルタイルの距離は,約15光年(光の速さで15年)です。太陽と地球の距離は,0.00001581光年(同,8分19秒)なので,2つの星はものすごく離れていることが分かります。また,地球とベガまでの距離は,26光年,地球とアルタイルまでは約17光年で,地球・ベガ・アルタイルで巨大な三角形を構成することができます。小学生には難しいのですが,視点を地球の外に向けると,この位置関係が分かります。地球からそれぞれの恒星までの距離は,すべて異なります。しかし,あまりに遠すぎて夜空の星までの距離を感じることができず,人間の目には平面的にしか見えません。古代の人々は,地球を取り巻く仮想の球体の上に恒星や惑星が張り付いていると考えていました。現代でも,この天球の考え方が受け継がれています。同様に,コペルニクス以前の天動説の方が人間にはイメージが得やすいため,地球の自転による太陽の見かけの動きを,太陽は東から昇り,西に沈むと理解しています。
 天体の動きのように,時間・空間のスケールが大きいときには,自分視点で考えたり,ある情報を無視して考えたりした方が分かりやすい場合もあります。特に,小学生の発達段階では,地球の外に視点を移動させることは難しく,天球や天動説で説明した方が理解しやすくなります。しかし,時間・空間概念ができたところで,修正を加えないとミスコンセプション(誤概念,誤解,思い違い)をもったままの大人になってしまいます。実際には,この修正が行われていないことが理科教育の課題です。
 最後になりますが,7月21日(金)から,お子さんが楽しみにしている長い夏休みが始まります。保護者の皆様はお忙しいことと存じますが,この夏休みの期間に機会があれば,夜空を見上げ,お子さんと「天球」の話をしていただけたら,幸いです。皆様,よい七夕・よい夏休みをお過ごしください。
                                  副校長  齋藤 克人

公開日:2023年07月06日 11:00:00
更新日:2023年07月06日 12:14:13