副校長より

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未来にむかって~(副校長から)11月号

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 今回のテーマは,「価値ある体験(1)」です。今月18日(月)から,音楽会に向けて特別時間割が始まります。学校行事は,日常の教育活動に変化をもたせるだけでなく,自己実現の機会であるとともに,価値ある体験としても位置付けられます。体験すること自体に価値があるという考え方もありますが,より質の高い体験をさせることにこそ,意味があります。
 学校教育の場では,結果よりもその過程を大切にします。ここが実社会と異なるところです。結果で評価され,結果がすべてという社会の論理は,学校教育にはなじみません。ただ,学校教育であっても頑張っていればそれでいいというものではありません。昨日よりも今日の方が上手になっているという成長していることが必要です。そのためにも,他者からの指摘やメタ認知による自覚によって自身の課題を明確にし,その解決に向けて努力していることが重要です。自分は,ここまでしかできないと努力することをあきらめたり,上手くいかないことへの保険として,努力しなかったりという選択も許されません。個々の課題を明確にすること,努力する気持ちを集団として醸成していくことが先生の役割,指導力を発揮する場面です。もう一つ,避けてきた役割があります。それは,個々の能力の限界を見極めることです。努力は,必ず報われるというのは理想であり,学校教育の幻想でもあると思います。
 来月5日(木)から,音楽会が始まります。ぜひ,この機会に,ご家庭でもお子さんと音楽会に向けて「価値ある体験」について,話し合っていただけたら,嬉しく思います。  副校長  齋藤 克人

公開日:2024年11月08日 17:00:00
更新日:2024年11月15日 07:47:58

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未来にむかって~(副校長から)10月号

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 今回のテーマは,「能力」です。先月から今月にかけて,第5学年の体育では,「ソフトバレーボール」に取り組んでいます。ゲーム中心に学習していますが,こどもたちが主体的に動いている様子を嬉しく思います。さて,ゲームの様子を観ながら,体育について育成すべき「能力」について,ソフトバレーボールを通して考えてみました。

1 個人に関する能力
(1)ルールを理解する力(理解力)・・・ルールを理解していなければ,他者とゲームをすることができません。ルールが複雑化するほど,知的な理解力が必要です。
(2)ボールの動きを予測する力(判断力)・・ボールの動きから落下点を予測する力は,かなり高度な能力です。こどもたちには,練習によって自然に身に付いていきます。
(3)ボールの落下点に動く力(瞬発力)・・・ボールが落下する地点を判断したら,そこに動く必要があります。判断と動きという脳と神経の連携が上手くいっていないと難しいことです。思っても動けないのは,神経系の問題であり,加齢によっても動かなくなります。ボールの動きと自分の動きをモニタリングするメタ認知力が必要になってきます。
(4)思った方向にボールを投げる・打ち返す・捕る力(投力・打力・捕球力)・・・自分の思ったところにボールを投げたり打ったりする力は,かなり高度です。相手の動きを判断したり,予測したりして力を加減しなければなりません。

2 他者との関わりに関する能力
(1)他者と協力してゲームを作っていく力(強調力)・・・同じ目的の集団の中で,協調する力が求められます。
(2)チームメンバーの動きを把握する力(観察力)・・・ゲームの場合,他のメンバーがどこにいて,どのように動くことができるのかを瞬時に把握する力が必要となります。さらに,その中で自分と他者の位置関係を把握するメタ認知力が求められます。同様に,ネットの向こう側の相手チームのメンバーの動きを判断すれば,有効な攻撃につながります。
(3)他者にアドバイスする力(助言力)・・・他者のプレイに対し,第三者の視点からアドバイスする力は,観察力や判断力・理解力に支えられています。
(4)相手の思いを察知する力(想像力)・・・ゲームでは,どう動いて欲しいと思っているのかという他者の思いを想像する力が必要です。想像力は,思いやりの気持ちにつながります。

 ぜひ,この機会に,ご家庭でもお子さんと体育について育成すべき様々な「能力」について,話し合っていただけたら,嬉しく思います。                   副校長  齋藤 克人

公開日:2024年10月08日 17:00:00
更新日:2024年10月10日 14:10:45

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未来にむかって~(副校長から)9月号

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 今回のテーマは,「聞くこと」です。「聞くこと」「読むこと」「見ること」は,情報入力の方法です。中でも「聞くこと」は,学校では,多くの割合を占めます。特に,学習は先生の話を聞く,友達の話を聞くことが中心になり,話の聞かせ方=学習への取り組み姿勢であり,話の聞き方=理解度となります。しっかり話を聞くことが学習の基本であり,すべてはここからスタートします。
 20年ほど前,コミュニケーション能力の低下が問題となりました。その根本原因は,コミュニケーション能力=伝えること,話すことだとする出発点の誤りでした。自分の言いたいことを発表することに主眼がおかれ,言いっぱなしのこどもを増やすことになりました。また,話形の指導といった話し方のスキルばかりに目が向き,話す中身・内容がおろそかになっていました。
 「コミュニケーション」とは,「人間が互いに意思・感情・思考を伝達し合うこと(大辞林)」であり,「相互性」がポイントとなります。言葉によるコミュニケーションで言えば,「話すこと」「聞くこと」がセットになっていなければなりません。だれかが話をし,他はそれを聞く。そして,そのことについて話すといったキャッチボールがあって,初めてコミュニケーションが成立します。「話すこと」だけの指導では,コミュニケーション能力の育成にはつながりませんでした。
 人が話をしているときに話をしないルールは,学校だけでなく人としての常識です。人と関わりながら生活していく上でのルールです。話を理解しているか否かではなく,少なくとも他に聞いている人の邪魔をするようなことがあってはなりません。学校では,学校における学習ルール,学習スキルとして,話を聞かなければならないということを徹底していかなければいけないと考えます。ここで大切なことは,「良い聞き手の育成は,より良い話し手の育成につながる」ということです。しっかり聞いてくれているという実感によって、話し手は話しやすくなり,自分もしっかり聞こうという意欲が生まれます。また,先生の話,友達の話だけでなく,話し手がだれであっても「まず聞く」という習慣形成が必要です。
 ご家庭でも,夕食時に「学校における学習ルール,学習スキルとして,話を聞く」ことについて,お子さんとお話していただけたら,嬉しく思います。             副校長  齋藤 克人

公開日:2024年09月10日 14:00:00
更新日:2024年09月13日 16:44:45

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未来にむかって~(副校長から)8月号

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 今回のテーマは,「物の扱い」です。物を大切にする子,粗末にする子,扱いが丁寧な子,雑に扱う子など,物との関わり方を見れば,その子の気持ちやこれまでの環境・しつけの状況などがよく分かります。逆に,物を大切にすること,丁寧に扱うことを教えると,心も育っていきます。日本は,「型」の文化を発達させてきましたが,まず「型」から入る学習も重要です。学校では,こどもたちの物の扱いは「3つの箱」を見れば分かります。「靴箱」と「筆箱」と「道具箱」です。
 学校では,「靴箱」を見ると,その学校のこどもたちの状況が分かると言われます。在校時に外履きがきちんと揃えて入っていたり,下校後の上履きがきちんとしていたりすることは,こどもたちが落ち着いて生活している現れです。また,先生や保護者の方々の指導・しつけが行き届いている証拠でもあります。精神的に余裕がないと,細部まで心が行き届きません。靴が揃っていなかったり,片方が落ちていたり,靴の乱れは,心の乱れと考えることができます。ご家庭の靴箱(玄関)は,いかがでしょうか?
 同じように,「筆箱」の中にも,その子の心が現れます。鉛筆が折れたり丸くなったりしたままで削っていない,消しゴムが刻まれている,必要のない物が入っているなどの状況は,その子の心の動きそのものです。低学年で習慣化していたことができなくなってしまうのも心の変化です。次の日の学校の準備の一つとして,筆箱を点検することは,「明日も頑張ろう。」という意欲を喚起するための儀式でもあります。そんなあたり前のこと=「こうとう学び方スタンダード」が徹底できていない子は,学習以前の心構えができていない状態であり,学習に集中できていないと考えます。改めて「型」を作る(習慣化する)必要があります。
 もう一つの箱は,「道具箱(または,ロッカー)」です。机の中やロッカーがきちんと整理されているこどもは,当然ながら忘れ物が少なく,学力との相関もあるように思います。必要な時に必要な物が出てくると,思考も活動も止まりません。集中力が途切れるのは,「糊がない。」「プリントがない。」と思うように物が使えないときです。
 上記の3つの箱は,学校で自己点検させたり,自分で整理する時間を作ってあげたりしています。道具箱の中から,給食の残飯が出てくることもありました・・・。幸い,今日現在,夏休み中なので,お子さんが「靴箱(玄関)」と「筆箱」と「道具箱」をチェックし,整える時間がたくさんあります。ぜひ,この機会に,ご家庭でもお子さんと一緒に3つの箱をチェックし,整えていただけたら嬉しいです。
                                   副校長  齋藤 克人

公開日:2024年08月05日 16:00:00
更新日:2024年08月19日 09:57:14

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未来にむかって~(副校長から)7月号

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 今回のテーマは,「願い事」です。7月7日は,七夕です。ひまわり教室の前や体育館前方入口には,笹の廊下掲示が飾られています。どんな願い事が書かれているのでしょうか?「願い事」と「夢」は,重なります。お子さん達は,時間軸で使い分けているようです。お子さん達に「夢」を聞くと,将来なりたい職業や大きくなってから叶えたい願望を答えます。「願い事」を聞くと,「水泳で進級しますように。」「○○が上手になりたい。」など,少し近い願いを答えます。もちろん,短冊には,将来なりたい職業も書かれています。
 「願い事」を短冊に書き,星に願っただけでは夢は叶いません。叶えるための努力が必要です。願い事を書くこと,表明することは,自らそれを意識することになります。「短冊にも書いたし,がんばろう。」という意識が大切です。「願い事は,紙に書いて,毎日見るとよい。」と言われるのは,そんな心理的効果が期待されるからです。
 野球選手であるイチローさんは,小学生の頃からプロ野球選手になることを夢見ていました。イチローさんのイチローさんたる所以は,その夢を叶えるために努力を続けてきたことです。夢を描いても,その実現のために,努力するこどもは希です。一つには,実はそこまで深く考えていないこと,もう一つは,具体的に何をしていいのかが分からないことによります。
 「作家になりたいから,読書を頑張っている。」「ファッションデザイナーになりたいから,絵を描くことを頑張っている。」「パティシエになりたいから,お菓子作りを頑張っている。」など,行動に移しているお子さんがいるかもしれません。とても大切なことです。ただ,その職業に直結する何かをすることだけが努力ではありません。
 小さい頃の夢が叶った人の多くが異口同音に「今,なすべきことを一所懸命にすること」とお子さんにアドバイスしています。小学生の「今,なすべきこと」とは,学校でしっかり学習すること,友達と仲良く遊ぶこと,一所懸命に当番や係活動の仕事をすること,家族の一員としての役割を果たすこと,等々。小学生の本分を果たすことです。
 昨今,お子さん達の間で,「必死になって努力することは格好悪い。」というような風潮があります。夢が叶わなかったときの保障と考えることもできますが,初めから努力することを避けるために,夢をもたないということもあるようです。また,夢が実現しなかったときのショックや痛手を予想して最初から努力しないという逃避も考えられます。努力することは尊いことであること,大きな成果は得られなくても「努力に無駄はない」ことを繰り返し伝えていくことが必要です。ぜひ,この七夕の機に,ご家庭でもお子さんと「願い事」や「夢」について語り合っていただけたら,幸いです。
                                   副校長  齋藤 克人

公開日:2024年07月03日 12:00:00
更新日:2024年08月19日 09:57:03

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未来にむかって~(副校長から)6月号

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 今回のテーマは,「基礎感覚」です。学校では,スポーツフェスティバルが終わり,体力テストが始まりました。こどもたちの体力の低下が問題視され,小学校でも様々な取り組みが行われるようになりました。しかし,こどもの体力向上は,小学校に入ってからでは既に遅く,幼児期からの取り組みが重要だと言われています。今から10年以上前には,文部科学省が「幼児期運動指針」を策定し,公立の幼稚園や保育園を中心に取り組んできました。成長期である幼児に,特定の種目に特化して運動を強いることは,かえってバランスの取れた成長を阻害すると言われています。さらに,幼児期から「できた」「できない」で評価されてしまうことは,自尊感情を低くしてしまう可能性があります。
 運動の基礎となる多様な動きは,遊びを通して様々な形で経験しておくことが重要となります。そのために,公立幼稚園では,遊びが発展し,より運動の質が高まるような環境を構成し,支援していきます。自由に遊んでいるように見えるかもしれませんが,先生の環境構成(道具や遊具を用意する,掲示物や壁面等で雰囲気を作る,など)によって,多様な動きや価値ある体験ができるように仕組まれています。
 さて,「逆立ち」をできるようにするためには,壁などを使ってひたすら練習すればいいというものではありません。逆立ちに必要な感覚を身に付けていく必要があります。幼児期に多様な運動を経験しているお子さんは,難なくできるかもしれませんが,そうでないお子さんの方が多く,準備運動の一つとして基礎感覚タイムを設定する必要があります。逆立ちの難しさは,頭の位置が手元より下がるという感覚に慣れることです。そのために,手足を着いて歩く(四つん這い,熊さん歩き)ことから手足走りをたくさんすること,さらに普通の手押し車から足の位置を高くした手押し車を経験させていくことで,両手の間に頭が入る感覚が身に付いてきます。そして,蛙の足打ちでは,できるだけたくさん足を打つことに挑戦させ,腕の間に頭が入り,腰が上がる感覚を身に付けます。また,逆さになる感覚は,鉄棒や登り棒を使った足抜き回りなどをたくさんすることで身に付き,三半規管も鍛えられていきます。幼児期,親子で向かい合って手を繋ぎ,親の体を足で登らせて回転するといった遊びをしておくと,身体の回転感覚や逆さ感覚が自然に身に付いていきます。
 低学年の体育は,幼児期の「運動遊び」の流れを前提に領域が構成されています。学習指導要領にある「体つくり運動」「ゲーム」以外は,「機械・器具を使っての運動遊び」「走・跳の運動遊び」「水遊び」「表現・リズム遊び」となっており,「遊び」が基本です。幼児期と同様,特定のスポーツの指導を通して,特定の筋肉や神経系を発達させるのではなく,走る,登る,ぶら下がる,等々の基本的な動きについて,遊びを通して身に付けていくことが大切です。ぜひ,この体力テスト月間の折に,ご家庭でも一緒に「基礎感覚」を高めたり,体力テストや体育の学習について話し合ったりしていただけたら,嬉しいです。              副校長  齋藤 克人(長文になってしまいました・・・。)

公開日:2024年06月12日 12:00:00
更新日:2024年06月13日 08:20:02

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未来にむかって~(副校長から)5月号

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 今回のテーマは,「体験的な学習」です。第6学年の理科「ものの燃え方」では,ものが燃え続けるときは,新しい空気が必要であるという仮説を実験によって確かめます。次の課題となることは,「なぜ,新しい空気なのか?」ということです。そして,ものが燃える前の空気と,物が燃えた後の空気の質的変化を確かめていきます。
 学習指導要領にも「植物体が燃えるときには,空気中の酸素が使われて二酸化炭素ができること」と示されており,焼却には,空気中の酸素が使われ,植物体(=有機物・炭素を含む物質)が燃えた後には,二酸化炭素ができることを確かめます。ここでは,石灰水を使って定性的に見ていきます。
 この学習では,重要な概念の転換や拡大があります。一つは,空気は,単体の物質でも化合物でもなく「混合物」であることを理解することです。酸素という言葉や空気の組成を知識として知っているお子さんでも,スキューバダイビングのときに使うタンクの中には,酸素が入っていると思っている子が結構います。生命体にとって酸素は不可欠ですが,約21%酸素という割合が重要です。この学習を通して,空気は一つの物質ではない,という概念の拡大が期待されます。
 もう一つは,ものが燃えるときに酸素が使われるが,「酸素自体が燃えているわけではない」ということです。お子さんにとってものが燃えることは,それ自体に火が付いて燃えることであると考えます。この学習を通して,焼却には,酸素が必要であることを学びますが,「酸素自体が燃える」と捉えるお子さんがいます。定量的にも酸素が減って二酸化炭素が増えることから,酸素が二酸化炭素に変化したと捉えてしまいます。空気と酸素でスチールウールの燃え方を比べてもなかなか難しい概念です。半分かりの状態で「酸素の支燃性」という新たな概念を得ることになりますが,これは,中学校での「酸化」の学習によって初めて理解できることになります。
 ものの燃え方を学んだお子さんは,火を消すには水をかけるだけでなく,空気(酸素)を遮断すればいい,ということに気付きます。水は,燃焼温度を下げることで火を消しますが,粉や泡の消化器は,燃焼物が酸素に触れないようにすることで火を消します。さらに,キャンプファイヤーの薪の組み方も,空気の流れを考えて組んでいることに気付くはずです。
 学校で体験を通して得た知識や技能は,身の回りの事象と関係付けて説明したり,実際に体験したりすることで,より確かなものになっていきます。本物の知識・使える技能(=生きる力)にするためには,学習後の「体験」が重要になっていきます。その意味でも,「生活科」や「総合的な学習の時間」は,教科での学習内容にリアリティーをもたせる重要な役割を果たしています。  副校長  齋藤 克人

公開日:2024年05月12日 16:00:00
更新日:2024年05月14日 11:32:34

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未来にむかって~(副校長から)4月号

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 令和6年度がスタートしました。今年は,開校10年目の年となります。江東区では,周年行事を11年目としていますので,令和7年度を予定していますが,大きな節目となる今年1年はいろいろな意味で学校としての総まとめ,区切りの1年となっていきます。そして,さらによい学校にしていきたいと考えます。
 さて,今回のテーマは,「おかげさま」です。「おかげ様」は,「かげ(蔭)」に「お」「様」を付けて最上級の丁寧語にしています。他には,「お疲れ様」「お世話様」「お邪魔様」など,相手への気持ちを謙虚に表す言葉があります。「蔭」のそもそもの意味は,神仏の助け=「加護」ですが,一般化して「他から受けた力添え」「恩恵」へと拡大しています。根拠のない自信,身勝手な自己有能感をもったこどもは,すべて自分の力で上手くいっていると思っています。人が生きていく上でだれかの世話にならないということはありません。「他から受けた力添え」に気付くことが大人になっていくことです。対価を支払えば,感謝する必要がないとする考え方も,大人としてあまりに未熟と考えます。
 さて,話は変わりますが,「人は見た目で判断してはいけない。」と言います。このことは,逆に,人は,見た目で判断されるということを表しています。その人との関わり,つまり,その人と話をしたり,いろいろな面を見たりすることで,その人のことが少しずつ分かってきますが,それは,第一印象とのギャップを埋める作業だと考えます。それだけ,人は,第一印象に引きずられます。こどもも同じです。今年度も,始業式後に校庭で学級指導を行いました。短時間の出会いでしたが,こどもたちによい印象をもたせ,翌日からの学校生活に期待感を抱かせることが大切でした。先生方は,「担任の先生,何か楽しそう。」「楽しい学級になるかもしれない。」という思いをもたせるような出会いを演出していました。「今度の先生,面白そう!」とご家庭でも,そんな話をしていただけると,お子さんも安心し,よい印象をもつことができるかと思います。
 最後になりましたが,この10日間,こどもたちは,新しい環境の中で一所懸命に力を発揮していました。令和7年3月までの1年間,第一印象を大切にしつつ,周りの人への「おかげさま」の気持ちを忘れずに,随所で活躍して欲しいと願っています。保護者の皆様におかれましても,本校の教育活動にご理解・ご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。            副校長  齋藤 克人

公開日:2024年04月17日 13:00:00
更新日:2024年04月19日 15:14:34

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未来にむかって~(副校長から)3月号

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 今回のテーマは,「あなたが いたから」です。4月の学級開きから1年,学級を閉じる時期となりました。お子さん一人一人が「この学級で良かった。」という気持ちを残して,学級を閉じられるといいなと考えています。そのためにも,担任の先生が「いい学級だった。」「先生も楽しかった。」と言えることが大切です。お子さんの中には,進級・進学への不安を感じている子もいることと思います。その不安を払拭するためにも,1年生から5年生は,進級への期待を膨らませ,希望をもたせて,発展的に学級を閉じていくことが大切です。6年生は,小学校の締め括りであり,大きな節目を迎えます。中学校生活への期待よりも不安が大きいかもしれませんが,中学校生活での楽しそうなことを想像させ,いい気持ちで卒業して欲しいと願っています。
 さて,こどもたちは,自分一人で大きくなったと考えがちです。確かに,時間とともに心も体も成長していきます。こども自身の成長する力,よりよくなりたいと思う気持ちが成長の原動力であることは,確かです。でも,「人は人によって人になる」という言葉のとおり,人との関わりによって成長していきます。こどもたち相互,こどもと担任との関わりがあるからこそ,その中で成長していきます。他者との関係による成長には,以下の3つの側面があります。
(1)他者が鏡になる → 他者を通して,自分を見つめることができます。他者を鏡にすることで,自分の姿が明らかになり,成長のきっかけになります。
(2)他者に教えてもらう → こどもたちは,自分の力で,できる部分と誰かの助けにより理解し,できるようになる部分があります。学びには,他者が必要です。
(3)他者に励まされる → 一人ではできないことも,一緒に取り組む仲間がいたり,応援されたりすると力が出ます。互いに励まし合うことは,勇気を与えます。
 「他者」は,「あなたたち」と考えてしまいますが,「あなた」のように特定の誰かを意識することが大切だと考えます。英語では,「あなた」も「あなたたち」も「You」ですが,日本語は,明確に区別します。学校では,キャリア教育の一環として,学級を閉じるにあたり,自分の成長を手助けしてくれた特定の「あなた」について,考えさせる学習を設定します。ご家庭でも,ぜひ,「あなた」について,話題にしていただき,お子さんが「あなたが いたから」というお話をしてくれたら,大変嬉しく思います。
 最後になりましたが,この1年間も,本校の教育活動にご理解,ご協力をいただき,本当にありがとうございました。                            副校長  齋藤 克人

公開日:2024年03月01日 12:00:00
更新日:2024年03月05日 13:06:47

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未来にむかって~(副校長から)2月号

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 今回のテーマは,「基準」です。今年は,4年に一度の「閏年」,オリンピックイヤーでもあります。閏年は,明治時代の法津に規定され,現在でも適用されています。ここでは,武天皇即位紀元年数(=「皇紀」,西暦に660を加えた数)が4で割れる年を閏年とするとともに,紀元年数から660を引いた数(西暦)が100で割れる年を平年(閏年でない年),400で割れる年を閏年としており,閏年は400年に97回やってくることになります。(簡単に言えば,(1)西暦年号が4で割れる年を閏年とする。(2)(1)を例外として西暦年号が100で割り切れて400で割り切れない年は平年とする。ということで,2000年は,閏年ではありませんでした。)
 地球が太陽の周りを1周する時間を一年としていますが,実際に地球が太陽の周りを回るには,365.2425日(約365と6時間)かかっており,4年に一度,1日加えることで修正しています。これが閏年であり,古来より経験的に行ってきた人間の知恵です。
 また,「一日」や「一秒」の長さの決め方について,かつては,地球の自転を基準にして「一日」という長さが決められ,その24分の1を1時間,さらにその60分の1を1分,その60分の1を1秒としていました。今では,セシウム原子周波数標準による1秒の積み重ねで世界標準時が決められています。しかし,地球の自転速度にムラにより世界標準時との差が生じるようになりました。そこで,数年に一度「うるう秒」を加え,調整を図っています。「長さ」も,かつては,子午線の1000万分の1を1メートルとしていましたが,今では,真空中で光が1/299792458秒に進む距離と定義されました。また,重さについても, アボガドロ定数による定義が検討されており,メートル原器やキログラム原器などの人工物による基準は,消えていくことになります。科学の発展とともに,度量の根本となる基準が変わっていきます。                           副校長  齋藤 克人

公開日:2024年02月01日 22:00:00
更新日:2024年02月05日 17:31:09